「新潮」10月号に写真家・橋本貴雄さんのエッセイが掲載された。とても橋本さんらしいエッセイだった。その橋本さんらしさ、を簡単には言葉にできないので書いてみる。 エッセイには8月6日のことが書かれている。広島の原爆記念日である6日は、新宿ニコンサロンでの橋本さんの写真展「風をこぐ」の最終日で、この日、私はニコンサロン の会場で橋本さんと話をした。 話の内容は部分的にうろ覚えだが、6日の午前中、日本での滞在期間中は身を寄せている家で原爆記念日の追悼式をパソコンの画面越しに見ていたという橋本さんは、こんなことを考えたようだった。77年前の原爆投下に心を寄せ、目を瞑り首……
続きを読む「風をこぐ」の読者の方から頂戴したこれまでのお手紙は、著者の橋本さんが携えてベルリンにお帰りになっております。お手紙に綴ってくださった「風をこぐ」の感想は、それぞれが本当に心動かされるもので、著者、装丁家、編集者の励みになり、財産になりました。 先日、一枚の絵葉書が届きました。差出人は、橋本さんが尊敬するアーティストでした。表現を通して人と人がなにかを受け取り合う、そのことの気高さを感じるようなお便りでした。橋本さんにお渡しする日まで、モ・クシュラの事務所で大切に保管いたします。 みなさまへ、この場を借りて心からお礼を申し上げます。 ……
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