この度の新刊は、写真家・橋本貴雄さんによる写真エッセイ集『風をこぐ 』(A5ヨコ変形、312頁、3200円+税)です。
橋本さんはふだんベルリンを拠点に活動され、これまで国内外で展示を行っています。この夏、選考された2021年度キヤノン写真新世紀では、この度の新刊『風をこぐ 』所収の写真からなる「KETTE」が、椹木野衣氏の選評により佳作に入選しました。『風をこぐ』に収められているのは、橋本さんが12年間をともに暮らした一匹の犬、フウの写真とエッセイです。
フウは、2005年、福岡の路上で車に轢かれていたところを橋本さんに引き取られ、その後、日本からベルリンに渡り、12年間を共に暮らしました。写真集名「風をこぐ」は、事故による後ろ脚の後遺症で、全身でうねるように、前脚だけで風を漕ぐように進むフウの姿から橋本さんが付けたタイトルです。