モ*クシュラ

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2021.09.19[その他]

新刊「風をこぐ」を刊行いたします

この度の新刊は、写真家・橋本貴雄さんによる写真エッセイ集『風をこぐ 』(A5ヨコ変形、312頁、3200円+税)です。
橋本さんはふだんベルリンを拠点に活動され、これまで国内外で展示を行っています。この夏、選考された2021年度キヤノン写真新世紀では、この度の新刊『風をこぐ 』所収の写真からなる「KETTE」が、椹木野衣氏の選評により佳作に入選しました。『風をこぐ』に収められているのは、橋本さんが12年間をともに暮らした一匹の犬、フウの写真とエッセイです。
フウは、2005年、福岡の路上で車に轢かれていたところを橋本さんに引き取られ、その後、日本からベルリンに渡り、12年間を共に暮らしました。写真集名「風をこぐ」は、事故による後ろ脚の後遺症で、全身でうねるように、前脚だけで風を漕ぐように進むフウの姿から橋本さんが付けたタイトルです。
今回、出版する写真集には、それ以前に橋本さんの手で作られた同名の私家版があります。今年の初め頃、その私家版を橋本さんから見せて頂いたとき、家族写真を見ているような親密さと普遍に開かれていく気高さを感じました。
出版に至るまでには、貴重な応援と後押しがありました。かたちになるまで私の背中を強く押してくださったデザイナーの岡本健+さんには、本当に感謝しています。岡本さんの存在なしにこの本をモ・クシュラから出版することはできませんでした。そして美しい装丁に仕上げてくださいました。
また写真集には、ベルリン在住の作家・多和田葉子さんが帯文をくださいました。旅に向かう私たちの小さな隊列に、ひととき多和田さんが加わり光を照らしてくれたかのような安心感は、今も消えることがありません。
全国の書店には今月末~来月上旬に並ぶ予定です。また来週9月18日より目黒の金柑画廊にて、同名の写真展が始まります。その後、写真展は全国を巡回しますので、詳細はまたお知らせします。
▼写真家 橋本貴雄さんのウェブサイト
▼橋本貴雄写真展「風をこぐ」金柑画廊