モ*クシュラ

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2022.12.07[その他]

iwao galleryでの橋本貴雄さんの写真展「風をこぐ」会期終了

11月21日、iwao galleryでの橋本貴雄さんの写真展「風をこぐ」会期終了いたしました。「iwao gallery」は、オーナー・磯辺加代子さんのお父さまのお名前「巌」から取られたそうで、元は玩具問屋の倉庫だったそうです。
そのような場所で、橋本さんが12年間を共に暮らした犬=フウを写した写真群「風をこぐ」の展示をさせて頂き、まるで場と作品が大切な人の記憶に支えられているようでした。
本展示の期間中(11月11日)、美術批評家・椹木野衣さんと橋本さんのトークもありました。2021年度キヤノン写真新世紀で橋本さんの作品「Kette」(「風をこぐ」に収録した写真群から成る)」を選考してくださった椹木さんは、今回の作品について「写真ではなく、美術として見ている」という前提からトークを始められました。
「美術として見る」とはどういうことか、その興味深い前提は問いとなって、1時間半の対話それ自体が返答になっているように感じました。枚数、形態、距離、対象、タイトルなど、ときに細部の差異を確認するかのような対話は、神は細部に宿るのままに徐々に作家の無意識や感覚を引き出し、この作品に力を与えている作用について言葉を与えてくださいました。
展示では写真集を読めるブースをつくっていただき、50冊近い写真集を新たに手渡していただきました。これまでも写真集を読まれた方から「泣きました」と感想を頂くことが多かったのですが、今回の展示でも泣かれる方が少なくなかったようです。
トークで橋本さんは「泣かせようとしたわけではなく、ごく自然に、無為につくって、見た人がそこまで感情移入してくれるのであればむしろ嬉しい。見た人の人生の時間とつながれたような気がして」と仰っていましたが、私もその部分(見た人の人生の時間につながれること)にこの作品の力を感じます。
去年、金柑画廊(目黒)から始まった写真展「風をこぐ」の一年間をかけた全国巡回展(東京、横浜、福岡、札幌、大阪、鳥取)はひとまず終了しました。ここまでお力をくださったみなさま、本当に有難うございました。
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